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桐生タイムスより

進入禁止/文字の表示がよい

 広報きりゅう5月号に、桐生市川内町にある自然観察の森の一部が立ち入り禁止になる旨の記事が掲載された。禁止場所に①の看板を設置するという。
 自然観察の森と桐生市公園緑地課の職員は①が立ち入り禁止の標識だと誤解しているようだ。道路標識は標識令で規定されているが、①は車両進入禁止を表す標識だ。規制の対象は車両であって歩行者は無関係で、自由に通行可能だ。歩行者の通行を禁止するためには、②の標識を設置することになっている。
 ①の車両進入禁止の標識は一方通行の出口に設置するもので、ここから車両が進入するのは不可だという意味だ。換言すれば出ていくのはよいが、入ってくるのは不可ということだ。車両進入禁止という表現が誤解を招く原因になっているのかもしれない。一方通行出口と表現する方が分かりやすい。
 ③は十字路交差点で右折禁止を示す規制標識で、指定方向外進行禁止という。これも矢印方向のみ進行可能と表現するのがよいかもしれない。
 ①や③の名称は内容を正確に記すため難解になる法令用語で、道路標識のように走行中の車両が瞬間的に内容を理解するための名称としては不向きのようだ。
 ①と③は、交通の規制をする公安委員会が設置する標識だが、②の通行止めは公安委員会の他に道路管理者も設置可能で、車両も歩行者も通行不可、道路の完全閉鎖を表示する。道路工事や災害で通行不可能の際に設置する。
 話は変わるが、40年ほど昔、死亡事故が多発し交通戦争といわれていた当時、桐生市は全国に先がけて交通課を設置し、交通安全に取り組んだ。
 警察や道路管理者の他に民間の交通安全協会の協力も取り付け、三交会議を主催した。交通問題をすべて所管した。努力の甲斐あって、年間の死亡事故は半減し、輝かしい成果を挙げ、他の市町村から注目された。
 職員もやる気十分で、三交会議を主導した。
 しかし、死亡事故が半減した後、交通課は公害交通課、生活環境課と名称を変え、現在は安全安心課が交通安全を担当している。
 市としての交通安全への関心が低下し、冒頭に記したように、道路標識についての知識も希薄となった。当時の市職員はすべて定年退職し、昔を知る職員はいない。時代の変遷というものだろう。
 ①の車両進入禁止の標識は市内の道路の所々で見られる。身近な親しみのある標識なので、市職員は何気なく広報に記したのだろう。
 歩行者だけ入園させる自然観察の森では、道路標識によるのではなく、立入禁止のように、文字で表示するのがよい。

 

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