プラスとマイナス/陰陽との比較
+-×÷は加減乗除を示す記号だが、プラス、マイナスとカタカナで書くと、加減から派生した種々の意味となる。
ドライバーのプラスは先端が+、マイナスは-になっている道具だ。
電池の電極の+-もすぐ理解できる。
数字の+は正数、-は負数だが、正負の漢字のせいか、勝者、敗者のイメージがつきまとう。
血液検査などでは陽性反応をプラス、陰性反応をマイナスといい、+や-で表示する。
数学的や科学的分野だけではなく、社会現象もプラスやマイナスで表示される。
プラスは利益、寄与を意味し、マイナスは損失、不利を表す。
以上は誰でも納得しているが、回転も+-で表示する。
右回り(時計回り)は+回転と思いがちだが、実は-回転で、左回り(反時計回り)が+だ。
競馬は馬場によって右回りだったり、左回りだったりする。
トラック競争は、現在は左回りだが、古代オリンピックでは右回りに走っていたらしい。
時計回りは右回り、反時計回りは左回りと思っている人が多いが、全員がそう思っているわけではない。
幼稚園で、「手をつないで輪になりましょう」と先生が声をかけると、園児は両手をつないで、内側に向き、外側に向いて円の中心に背を向ける子はいない。
「右へ1歩、左へ2歩、進みましょう」といわれると、間違えずに右、左に移動する。このとき、右へ進むのが左回り、左へ進むのが右回りと説明されれば、園児は混乱する。
時計回りを右回りと信じ込んでいる人は、12の位置を起点とし右へ進むから右回りと主張するが、6の位置を起点とすると、時計回りは左方へまわることになる。
従って、右回り・左回りの表現は混乱をまねくことになる。時計回り、反時計回りというのがよいだろう。
陰と陽も面白い。古代中国の陰陽五行説によると、日・春・南・昼・男は陽で、月・秋・北・夜・女は陰だそうだ。現代の日本人の感覚と一致する。山陰・山陽などの地名にもなっている。陰はマイナス・陽はプラスの感じだが、順序が欧米風のプラス・マイナスとは逆だ。
人体の名称手の甲、足の甲を医学用語では手背、足背という。カニの甲羅のように日のあたる方が甲だ。
ヒトの腹部・背部は腰部が前、背部が後ろなので、腹が陽・背が陰のように思いがちだが、正しくは腹側が陰、背側が陽だ。
大昔、ヒトも四つ足動物だったが、四つ足で歩くと、日は背中に当たるから陽だとされている。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)