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桐生タイムスより

婚活パーティー/新しい国づくり

 就活や婚活のように〇活という二字熟語がはやっている。中学校の部活動を部活と縮めたのが元祖らしい。
 桐生市社会福祉協議会(略称・社協)と桐生市は、共催で婚活パーティーを開催した。参加者募集要項によると、参加費は男性1500円、女性500円だ。昼間のパーティーでアルコールは提供しない。
 参加費に3倍もの格差を設けたのは、一見女性優遇のように見えるが、男女平等を規定した憲法の精神から考えると、女性を蔑視した措置ではないだろうか。
戦前は男尊女卑の社会だったが、戦後は男女平等の思想が普及し、20歳以上の国民は男女や貧富の区別なく、すべて有権者となった。
 学校も義務教育はもちろん、高等学校以上も原則として男女共学となった。男女共学は初期には珍しがられたが、現在では当然のことで共学という言葉が死語になりつつある。
 警察官や自衛官まで女性でも採用される。民間でも社員募集に男女で差別をつけず、同一労働同一賃金だ。
 現今男女で別々になっているのは、公衆浴場と公衆トイレぐらいだ。
 社協は現在では民間の社会福祉法人だが、数年前までは市庁舎内にあり、会長は市議会議長があて職で就任していた公共性が強い組織だ。その社協が市と共催で婚活パーティーを開くのは、少子化対策の一環だろう。
 桐生市でも少子化は進み、日本創成会議の推計では、出産適齢期ともいえる若年女性(20~29歳)の人口減少率(2010年→2040年)は桐生市が57.6%、みどり市が38.4%とのことだ。
 市としては結婚を奨励し、多くの子を産んでほしいのだろうが、結婚や出産は個人の人生観による十人十色の行為で、行政が強制すべきことではない。
 戦時中のように「産めよ殖やせよ」というわけにはいかない。
 社協の担当者の説明によると、過去の婚活パーティーでは女性の参加者が極めて少なく、男性と同数にならないので、やむをえず参加費を引き下げたとのことだ。
 しかし、私の目にはこの措置は、夏物衣料の売れ行きが悪く、5割引き大売出しのように映る。
 女性の参加者が少ない原因は、参加費が高額だからではなく、男性との交際や結婚を希望していないためではなかろうか。
 結婚や出産をふやすには、単に奨励するだけではなく、それが可能になる環境づくりが大切だ。
 そのためには社会改革、教育改革等、世の中のシステムを抜本的に改める必要がある。長期計画となり、新しい国づくりである。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)

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