背景色の変更
  • 標準
  • 黄
  • 青
  • 黒
文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大
桐生タイムスより

広報きりゅう/調剤事務管理士

 表題のように、広報は漢字、都市名はひらがなで表記している広報紙が多い。官報のように堅苦しい表現ではなく、分かりやすい言葉で記されているが、内容は市からの公のお知らせである。誇大広告やうそはないと市民は信じている。
 広報きりゅう10月号に、職業訓練センターの講座として次の記事が掲載された。
 調剤薬局事務講座
  「調剤事務管理士技能認定試験合格」を目指します。
 これを読んだ市民は「調剤事務管理士」という公認の資格があると思うだろう。医師や弁護士をはじめ、師や士のつく国家資格は多い。戦後に創設された資格には士が多い。50音順に並べると、栄養士、介護福祉士、技術史、気象予報士、技能士、救急救命士、行政書士、計装士、言語聴覚士、建築士、公認会計士、歯科衛生士、歯科技工士、司法書士、社会福祉士、社会保険士、社会保険労務士、税理士、測量士、潜水士、土地家屋調査士、範士、教士、錬士(剣道など)、ビルクリーニング技士、不動産鑑定士、弁護士、弁理士、保育士、ボイラー技士、無線技士、無線技術士、理学療法士、臨床工学士などがあるが、調剤事務管理士はない。民間団体が勝手につけた名称なのだろう。
 職業訓練センターは国家資格ではないが調剤薬局に就職するとき有利になるという。しかし、調剤薬局ではそんな合格証書や資格認定書を持参しても、単なる紙切れで採用には全く影響しないという。
 薬剤師会に調べてもらったら、職業訓練センターの本部で講座を認定して全国のセンターに流したのではないかという。
 士のつく資格を得るための通信講座として、新聞広告やチラシで宣伝するのが昔流行した。士を武士に見立ててサムライ商法といわれたが、弊害が多く世論で批判され消滅した。現在では新聞広告でも「調剤事務管理士」とはうたっていない。
 広報きりゅうを編集・発行している情報政策課は市の指定管理団体である職業訓練センターからの情報だから、調剤事務管理士は公認の資格だと思い込んで、広報に掲載したらしい。つまり市がだまされたのだ。
 広報の記事を信用して費用を払って受講した市民が、苦情を市の消費者生活センターに訴えたら、センターはどう説明し対応するのだろう。平清盛の「忠ならんとすれば孝ならず、孝ならんとすれば忠ならず」の心境で困り果てるだろう。
 おれおれ詐欺・振り込め詐欺を助長するかのような市の在り方を、根本的に反省すべきではないだろうか。広報や封筒、市庁舎内での広告、公用車や路線バスのラップ広告をげじめがないと繰り返しけいこくしているのだ。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)

このページの先頭へ