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桐生タイムスより

特殊詐欺/仕組みを知り、自覚する

 おれおれ詐欺や還付金詐欺等の振り込め詐欺や、利殖や必勝を信じさせる劇場型詐欺などの被害が、連日のように新聞に掲載されている。
 被害者は独り暮らしの老人に多いようだ。
 警視庁が都民からの応募作として採用した母さん助けて詐欺は名称が定着せず、マスコミから消え去った。
 犯罪の様式は日々変化し、郵送や一味が堂々と顔を見せて受け取る例さえあるという。
犯人が捕まったと報道されることもまれにあるが、捕まるのは末端組織の出しっ子で、未成年者もいる。
 犯罪を企画し実行するトップが逮捕された例は残念ながら聞いたことがない。綿密に企画され、組織が堅固で、捜査がトップにまで及ばぬように何重構造にもなっているのだろう。
 私は絶対にだまされないと思っているほど、だまされやすいといわれる。まれには警察に協力してだまされたふりをして犯人を逮捕した例も報道されるが、捕まるのは末端の雑魚だけだ。
 これらの犯罪を防ぐのはだまされぬよう気をつけることに尽きるが、手口が巧妙で話し方がうまいので、現実は容易ではない。
 官庁の組織や社会の仕組みを知り、世の中にうまい話はないことを自覚することが大切だ。
 金融機関のキャッシュカードや携帯電話を持たなければ、犯罪を防止できる例が多い。これら無しには生活ができないという人がいるが、私は何年もこれらを所持せずに生活しているが、さほど不便は感じない。
 警察はこれらの新手の詐欺を特殊詐欺と名付けているが、私の国語感覚にはなじまない。
 詐欺とは他人をだまして金品を奪うことだ。上述の詐欺は特殊なものではない。手口が従来とは異なるだけなので、新しい名称が必要なら新手詐欺と言えばよい。これを特殊とする警察の方針に問題がある。
 かって警察庁は殺人や誘拐など5種の犯罪を重要犯罪と名付けてマスコミに発表した。重大犯罪なら分かるが、重要犯罪とは何が重要なのかと私は指摘した。警察官の昇任にとって重要な何座位なのだと皮肉る知人がいた。
 私は重要参考人に引きずられて、重要犯罪と名付けたのだろうと想像した。
 ある高校の卒業生宅を狙って、振り込め詐欺らしい電話がかかってきた。警察はその地域の同校卒業生の自宅に要注意の電話をかけた。その際、民間の防犯団体に協力を要請し、その団体は警察だと名乗って電話した。
 犯人は官公庁を名乗って電話をかけてくることがある。この例では警察官でない者が警察を名乗るのだから、協力が反対に犯罪を助長することにもなりかねない。警察はこれに気づいていないようだ。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)

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