七転び八起き/熟語の中の数字の意味
数字がついた熟語やことわざは多い。一期一会・二度と再び・孟母三遷・四海・富士五湖・六法全書・七転び八起き・八重桜・九分九厘・十進法など、探せばいくらでもある。
しかし、これらの数は必ずしも正確ではなく、多いという意味だったり、語呂合わせだったりすることもある。
まず、一期一会は茶道の心得で、千利休を連想する。一生に一度限りの意だ。
二度と再びは同意語を重ねて強調した表現で、下に打消しの言葉を伴うことが多い。
再びは2度目を示すことが多いが、2度目以降の事を指す場合もある。最初の結婚を初婚、2度目の結婚を再婚と言うが、中には3度も4度も結婚を繰り返す人もおり、2度目以降をすべて再婚とする表現もある。
病院に初めて受診した患者を診察することを初診というが、2回目以降は何回目でも再診だ。
孟母三遷の教えということわざがある。孟子が幼い頃墓の近くに住んでいて葬式の真似をするので、教育上よくないと考えた母は商店街に移住した。すると今度はお店ごっこを始めたので、母はもう一度学校のそばに引っ越した。すると孟子は学校ごっこをして勉強し始めた。よい環境を与えるために3回移住した故事とされる。
ぼんやり聞いていると気付かないが、この話は3軒の家に住んだが、引っ越しは2回だ。なぜ三遷というのだろう。
死後満1年目の忌日を一周忌という。翌年の忌日は二周忌とはいわず、なぜが1年とんで三周忌という。従って十周忌は満9年の忌日だ。なぜ二周忌はないのだろう。孟母三遷の教えと関係があるのだろうか。
四海は東西南北四方の海の意だ。太平洋や日本海のような特定の四つの海ではない。
これに対し、富士五湖は富士山北方の麓にある山中・河口・西・精進・本栖の五つの湖だ。
六法全書は憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の六つの法律をはじめ、各種の法令を収録した書籍である。全書といってもすべての法令が収録されているわけではない。
七転び八起きというが、1回転んで1回起き上れば元通りの立位に戻る。7回転んで8回起き上るとはどういうことかと不思議がる人がいる。立位から数えると回数が合わないが臥位から数えると矛盾はない。
八重桜は重弁の桜で、八は多くの意だ。
九分九厘は99%のことで、ほとんど間違いないことである。
十進法は0・1・2・・・9を用いて、10になると1桁あがる記数法で、1から10までではない。念のため。