外国の国名と地名の漢字表記/アメリカは2番目の「米」
新聞の見出しに「米輸出」とあるとき、米がアメリカかコメか一瞬迷うことがある。
アメリカ合衆国を米国と略記することは、誰でも知っているが、理由は知らない人が多い。現在は、外国の国名や地名はカタカナ書きが原則だが、昔は漢字で記すことが多かった。
アメリカを亜米利加、アジアを亜細亜、アルゼンチンを亜爾然丁、アイルランドを愛蘭、アテネを雅典、アルジェリアを阿爾及と表記した。
略称は最初の文字で表示するのが原則だが、亜国と記すと、亜米利加、亜爾然丁のどちらか分からず、場合によっては亜細亜と誤解されかねない。そのため2番目の漢字をとって米国と表示するようになった。
アメリカはコロンブスが発見したと思っている人が多いが、コロンブスの名は南米のコロンビアにその名をとどめ、アメリカはコロンブスより少し遅れて渡航したイタリアのアメリゴ・ヴェスプッチの名に因んでいる。
私は中学生の時、コロンブスがアメリカ大陸を発見と学んだが、アメリカには当時すでに先住民が住んでおり、発見は彼らに失礼だという意見が起こり、現在の教科書には「到達」と記されている。
コロンブスはアメリカをインドだと思い込んでいたので、大陸の先住民をアメリカ・インディアンと呼んでいたが、現在はネーティブ・アメリカンと言われている。
コロンブスの卵の話も、別人の話を後年コロンブスの話にでっち上げたとのことだ。
中国は中華人民共和国、韓国は大韓民国、北朝鮮は朝鮮民主主義人民共和国、台湾は中華民国の略称であることは誰でも知っている。
世界の地名や国名の漢字表記を列挙してみよう。
ヨーロッパ 欧羅巴、イギリス 英吉利、イタリア 伊太利、イングランド 英蘭、ウィーン 維納、オーストリア 墺太利、オックスフォード 牛津、オランダ 和蘭、ギリシャ 希臘、ケンブリッジ 剣橋、ジュネーブ 寿府、スイス 瑞西、スコットランド 蘇格蘭、スペイン 西班牙、デンマーク 丁抹、ドイツ 独逸、ノルウェー 諾威、パリ 巴里、ハンガリー 洪牙利、フィンランド 芬蘭、フランス 仏蘭西、ベルギー 白耳義、ベルリン 伯林、ポーランド 波蘭、ポルトガル 葡萄牙、ローマ 羅馬、ロシア 露西亜、ロンドン 倫敦
アフリカ・北米・中南米・オセアニアを省略して、アジアでは、インド 印度、ジャワ 爪哇、シンガポール 新嘉坡、タイ 泰、チベット 西蔵、トルコ 土耳古、フィリピン 比律賓、ベトナム 越南、ペルシャ 波斯。
新興国はカタカナ表示だけで、漢字はない。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)