米の読み方/圧倒的に多い「よね」
米倉涼子主演のテレビドラマを見て、ふと疑問に思った。米をなぜ「ヨネ」と読むのだろう。常用漢字音訓表では米の音はベイとマイ、訓はこめで、よねは載っていない。
電話帳の桐生市の個人名(ハローページ)には、米岡2、米川5、米沢3、米澤3、米田1、米原3、米本2、米山10、計29人の米が記されているが、全員米をよねと読み、こめ、ベイ、マイ、め、よなと読む氏は見当たらない。
たまたま読んだ新聞で知ったが、青森県六ケ所村の米田さんはマイダと読むそうだ。
地名では滋賀県の米原、鳥取県の米子、福岡県の久留米など「よね」以外の読みかたもあるが、山形県の米沢は氏と同様よねざわだ。
米は昔「よね」といっていたのかと思い、広辞苑の「よね」を引くと〔米〕(ヨナの転)〓こめ。〓(「米」の字の形から)八十八歳の称。米寿。「―の祝い」との解説だ。
古語辞典の「よね」には((古形ヨナの転))こめとある。「よな」の項には米((イナ(稲)の母音交替形か))「よね」の古形、だ。
要するに、稲(いな)いね、よな、よねと変化したらしい。米は稲の実だから言葉の変化は納得できる。私の想像どおりだった。
米は氏では「よね」と読むのが圧倒的に多いのに、国語審議会はなぜそれを排除したのだろうか。一般名詞には米を「よね」と読むものが少なく、米酢を「よねず」とも「こめず」とも読むので、「よね」を音訓表に載せなかったのだろう。
話は変わるが、長さの単位メートルを昔は米や米突と記した。そのため1kメートル(1000メートル)を粁、1センチメートルを糎と表記した。厘は分・厘・毛すなわち100分の1の意味だ。従って1粍は1000分の1メートル、1ミリメートルだ。
アメリカは米国と現在でも記されるが、昔亜米利加と表記した。略するときは一番上の文字をとるのが普通だが、アジアを亜細亜と書いたので亜ではアメリカかアジアか区別できないので、二字目の米をとって米国と記すようになった。アメリカ産の米に敬意を表したわけではない。
イギリスは英吉利と書かれ、現在でも英国で通用する。江戸時代にはエゲレスまたはアンゲリアといわれていたらしい。
国名を漢字で書くのは、米国、英国のほかに中国・韓国ぐらいで、他の国は片カナで記す。
昔は外国を全部漢字で書いたのだが、現在では伯・墨・蘭のように記されてはどこの国か分からないので、片カナ表記となった。
注ブラジル 伯刺西爾
メキシコ 墨西哥
オランダ 和蘭・阿蘭陀 (1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)