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桐生タイムスより

文字の分解遊び

長寿の祝いを賀寿または寿賀という。賀寿は謹賀新年や釣魚島のように漢文風に動詞を上に置いた表現で、寿賀は年賀状や魚釣島のように和風で動詞を下に持ってきている。
 本来は数え年で祝ったが、最近は満年齢で祝う人が多い。次のような種類がある。
 還暦 数え61歳。暦が一巡し、生まれた年に戻る。
 古希 70歳。杜甫の詩、人生七十古来稀なりから。稀が常用漢字表にないので希を代用。
 喜寿 77歳。喜の草書体㐂 が七十七と読める。
 傘寿 80歳。傘の略字仐が八十と読める。
 半寿 81歳。半の字を分解すると八十一と読める。
 米寿 88歳。米の字を分解すると八十八となる。
 卒寿 90歳。卒の俗字卆が九と十から成り立っている。
 白寿 99歳。百の字の一をとると白になる。
 茶寿 108歳。茶の字を分解すると二つの十と八十八になり合計108。
 皇寿 111歳。皇の字の上部白は一を加えると百。下部の王を分解すると一十一で12  99に12を加えると111。
 文字の分解遊びが多い。将棋界では81歳の半寿を盤寿という。将棋盤は縦・横ともに9で9×9=81だ。
 賀寿ではないが、年齢を表す言葉に論語から引用したものがある。
 志学 15歳。吾十有五にして学に志す。
 而立 30歳。三十にして而立。
 不惑 40歳。四十にして惑わず。
 耳順 60歳。六十にして耳順う。
 賀寿とは逆に忌み嫌う年齢もある。
 四十二の二つ子。父親が42歳になった時に2歳になる男児、すなわち41歳の時に生まれた子は親を殺すという伝え。そのため、仮に捨てて他人に拾わせるなどの習慣がある。四二(死に)に二を加えて四四(死死)となるのを忌んだものといい、平安時代以来の俗信。
 男と女で異なる年齢をさす言葉もある。
 破瓜 女は16歳。男は64歳。
 瓜の字を縦に二分すると二つの八の字になるので、女は8+8=16。男は8×8=64。
 破瓜は女性の処女膜が破れる意味もあり、16歳に限定せず、思春期の年ごろを破瓜期という。
 破瓜病は破瓜期に発病することが多い精神分裂病の病型だったが、精神分裂病は病人の人格を傷つける名称とされ、現在では統合失調症という。
 男女で差がある破瓜という言葉は、現在ではほとんど使用されていない。

 (1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)

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