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桐生タイムスより

衆議院と参議院

有権者の比率が気になる

世界には一院制の国もあるが、わが国は多くの先進国と同様、二院制の国会である。戦前の大日本帝国憲法では、議会は天皇によって選ばれる貴族院と、有権者の投票によって選ばれる衆議院により構成されていた。

しかし、戦後の日本国憲法の下では、衆議院も参議院も選挙によって議員は選出され、国会は国権の最高機関で、国の唯一の立法機関である。自民党から民主党に政権が変わり、衆議院では与党が過半数だが、参議院では野党が多数を占め、この状態をマスコミは「ねじれ国会」として異常事態のように報道しているが、衆参両院で与野党の構成比率が逆転しているのは、私は異常ではなくむしろ正常だと思っている。

その原因は、衆議院と参議院とでは選挙の方法が異なり、時期が異なっているためである。有権者は各人が異なる意見をもち、世論が変化するのは当然だ。選挙区や定員を変えると、違った結果が出ることもある。世論のわずかな変化が選挙の結果に重大な影響を及ぼすことがある。議員1人当たりの有権者の数は選挙区によって大きな開きがある。「1票の格差」を是正せよと裁判で訴える人もいる。

1票の格差というのなら、分子には有権者の数を持ってこなければならないが、なぜか人口で代用していることが多い。若者やこどもが多い大都市と老人が多い山村とでは、人口に対する有権者の比率は異なる。高齢者の投票率は高いが、若年者は政治に無関心・無気力で投票率が低く棄権する人が多い。

従って政治は老人向きとなり、若者は見放されることになる。参議院の発足当時は全国区選出議員もいて、良識の府といわれた時代もあった。それが選挙を繰り返すごとに参議院が政党化し、衆議院と似た構成となり、議論内容も同じようになってきた。

年金や税制・雇用問題などは、年齢により考え方が違うだろう。参議院の選挙区を抜本的に見直し、一部年齢別の定員を設けたらどうだろう。人口ヒストグラムを参考に、議員定数を30代以下・40代・50代・60代・70代以上に割り振り、青年・壮年の有権者の意見が積極的に政治に反映されるよう選挙法等を改正するのもおもしろい。

選挙権を20歳以上から18歳以上に改めるのなら、上記のほかに20代以下を設けるのもよいだろう。極めて大胆な発想だが、現在の選挙法を続けると参議院無用論が生まれるかもしれない。

(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)

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