初雪/除雪に来てくれた
先日初雪が降り、交通に影響を与えたが、一昨年のドカ雪ほどではなく、積雪も数日で消え去り一安心した。
初雪の定義はどうかと疑問に思った。全13巻もあるわが国最大の国語辞典の日本国語大辞典は以下のように解説している。
①その年の冬初めて降る雪。
②新年になって初めて降る雪。
江戸時代から2説あるようで、甲乙つけがたい。雪国と雪が降らない土地とで①②の差があるわけでもない。
似た言葉に初冠雪がある。夏を過ぎて、山頂に初めて雪が積もることで、新年になって初めて積もる雪ではない。しかし初夢は年の初めに見る夢だが、①元日の夜に見る夢②正月2日の夜に見る夢③大晦日の夜から元日の朝にかけてみる夢ーの3説がある。しかし③の説は夢を見た時刻が確定できず、大晦日か元日か不明のことがあるので、多くの辞書は①か②の説を採用している。
初日の出は元旦の日の出だ。元旦が雨で日の出が見られなくても、2日が初日の出にはならない。
初夢で縁起が良いのは一富士二鷹三茄子とされる。これは駿河の国の諺で、駿河の名物を言うとする説が有力だ。富士や鷹狩りは見るだけで庶民の手には届かないが、農作物の茄子がなぜ夢にでてくるのか不思議に思っていた。徳川時代の初期には茄子1個が1両もしたとの話だ。1個1万円のイチゴのような話で、庶民の口には入らない。
富士も鷹も茄子も庶民にとっては高根の花の夢にすぎないので、この諺となったとする説がある。
ところで、初雪が降った日の午後、作業員数人が拙宅の前の歩道の除雪に来てくれた。
私は県道に面した交差点に近い現在の場所に50年以上も住んでいるが、歩道の除雪をしてくれたのは初めての経験だ。
雪国で車道の除雪をしている映像はテレビでときどき見るが、歩道の除雪はほとんど住民がしているようだ。高齢化で老人夫婦だけが住んている世帯も多い。
屋根の雪下ろしはもちろん、歩道の除雪も老人にとっては不可能なこともある。
商店街の歩道は客を迎えるため店が除雪しているのが普通だ。
道路法には「道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない」と規定されている。
スコップで除雪してくれた作業員には現場で礼を言い、予算を確保して作業員を派遣してくれた道路管理者である群馬県の桐生土木事務所には翌日礼状を投函した。除雪された歩道は足取りが軽く、転倒しないで歩けた。
(1930年生まれ。桐生市堤町2丁目)