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桐生タイムスより

お年玉/何所得になるだろう

 お年玉にはしばらく縁がなかった。こどもの頃、お年玉をもらったか、もらわなかったか、遠い昔のことで思い出せない。80年ほど昔、私の小遣いは1日2銭だったので、ポチ袋の中のお年玉はたぶん10銭ぐらいだったのではなかろうか。
 当時は金銭は汚らしいとする風潮もあったので、しつけの厳しい家ではこどもに小遣いをやらず親が買い与えた家庭もあった。
 今年の正月、数十年ぶりにお年玉をもらったが、受領書を要求され驚いた。大みそか・元日・2日と勤務したら、祝い袋に入れたお年賀をいただいた。ありがたく頂戴したら、金額等を印刷した受領書に住所氏名と日付を記し押印してくれとのことだ。
 よく見ると源泉徴収までしている。こんな経験は初めてだ。会社は経費として処理する必要上、非常識と思われる措置をしているのだろう。実にしっかりした、きちょうめんな会計係だ。
 コラムを長く書いていると、ネタ切れになりそうなことがある。お年玉をもらったおかげで、絶好な材料になった。私はお年玉は給与所得か雑所得か一時所得か迷った。渡した職員は、源泉徴収してあるから確定申告の対象外ではと言ったが、所得ではなく贈与かなと思った。
 確定申告の説明を読んでもお年玉の説明はない。
 課税は名目ではなく実態に応じるのが原則だ。生活費や教育費は非課税だが、その名目にかくれて多額の金銭を与えると、贈与税の課税対象となる。お年玉として与えても、常識を超える金銭を与えると贈与税が課税されることがある。
 会社の経費についても税務署から経費としては認められないと否認される例もある。会社の主張と一致せず、「一応局の説明に従い納税した」との会社のコメントを新聞の紙面で読むことがある。
 源泉徴収は税金の取っぱぐれを防止するための制度で、国にとって極めて都合がよい。戦費を調達するために考えられたらしい。日本独特だとの説もある。
 所得税は所得のある人、すなわち金銭を受け取った人の申告により納める税金だが、源泉徴収漏れの場合は金を支払った側に納税義務が生じるので、支払者に納税を命じる。
 お年玉を渡して受領証を求める行為は社会常識と慣習に反するので、受け取り拒否をする人もいるかもしれない。
 来年の3月に確定申告をするまでには、十分な時間があるので、何所得になるのかよく研究して申告しよう。
 このコラムを読んで、読者はどんな感想をいだくだろうか興味深い。
 

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