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桐生タイムスより

数字が示す意味/正確なようでいて

 桐生市は公衆トイレ25ヶ所について、利用状況や経過年数、重要度や緊急度などを勘案して優先順位をつけて建て替えや改修をするとのことで、公衆トイレ整備計画を発表した。
 それによると、年間の利用者数はJR桐生駅南口高架下は6万2865人、東武新桐生駅前は4万4377人など、一の位まで発表されている。正確に数えたのかと思ってよく読むと、水道使用量から利用者数を推計したらしい。1回の利用水量は大と小で異なるし、性別・年齢・習慣などによっても差が生まれる。便器の機種によっても大きな差が出る。昔の機種は大量の水で洗浄したが、最近のものは節水型で、数分の1しか流れない。
 自動的に洗浄する器具は、1回の水量をメーカーが公表している。これらの条件を無視して一律に1人当たり〇㍑と定めて利用者数を推計するのは、極めて非科学的ではなかろうか。
 清掃事務所の担当者に尋ねても、口ごもり返答に窮している。
 トイレの1回当たりの利用水量の推計は易しいように思われるが実はかなりむずかしい作業だ。排泄物を流すだけではなく、手を洗ったり清掃にも水を使用するので、メーカーが発表した1回当たりの流水量で年間の水道使用量を割って利用者数を算出するのは過大な推計となる。
 公衆トイレの入り口にセンサーを備え付けるとかなり正確な人数を把握できる。この人数と利用水量から推計した人数とを比較すると、どの程度の誤差が生じるのか興味深い。
 上述のように、水道使用量から推計した利用者数は、おおよその数字だ。〇万〇千人程度にとどめるべきで、一の位まで示すのは正確なようで、実は不正確な発表だ。
 いろいろな統計が官公庁から発表される。その数字がどの程度正確なのか、信頼できるのかは個々の統計により異なる。
 もっとも正確で信頼できるのは、選挙の得票数だ。投票者数と投票数とが1票でも合わなければ選挙管理委員会は大騒ぎとなる。
 次に信頼できるのは国勢調査の人口だ。2010年までの国調は10月1日午前0時現在と指定され、調査用紙はその後回収された。事前回収は厳禁されていた。
 ところが前回の調査ではインターネットによる回答は事前のもので、フライング公認だった。正確度は低下し、日本の国勢調査の国際的評価は低下するだろう。
 これらの調査に関与しない国民は、発表された数字がどの程度正確なのか、信頼できるのかは分からない。
 官公庁側は、その点を考慮して発表するのが望ましい。選挙の得票数は当然一の位まで発表し、イベントの参加者数は概数である旨を言及して発表してほしい。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)

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