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桐生タイムスより

冠婚葬祭/人生の節目

 冠婚葬祭は古来の四大礼式すなわち元服・婚礼・葬儀・祭祀(さいし)のことだが、現代風にいえば成人式・結婚式・葬式・祭事(法事)だ。
 人生の節目で、近所や親類づきあいの根幹になっている。これらを全く無視して生活するのは困難である。
 元服は武家の男子が15歳の時に行うと思われているようだが、時代や土地により異なる。女子も髪上げや鬢そぎといってこれに相当する儀式を行った。成人となったことを示す。
 現在の成人の日は、国民の祝日に関する法律によれば、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」ことになっている。選挙権は18歳からに改正されたが、民法の成年の定義は20歳のままだ。
 群馬県内の市町村は申し合わせをしたのか、対象者を年度で仕切っているので、成人式の当日は、まだ成人に達していない人、未成年者も含んでいる。法律の趣旨に反している。同じ学年の者を一斉に参加させる方が、出席率がよいとのことだが、成人式は同窓会ではない。おとなになるとは、けじめをつけることだ。
 結婚は本来男女が夫婦となることだが、最近では同性同士のカップルが誕生し、一部の自治体ではそれを容認している。
 婚は女偏に昏だ。昏は昏睡・昏迷のように、何も見えない、暗いが語義だ。古代の結婚式は夜に行われたらしい。現在でも宮中の儀式は夜に行うことが多い。
 葬式には神式、仏式、キリスト教式などがあるが、仏式が圧倒的に多い。なかには無宗教のお別れの会もある。戒名無用という遺族もいるが、僧侶に葬儀を依頼する以上、戒名無用は無理な要求だ。
 仏教に入門し、釈迦の弟子になるのに、名無しでは困るだろう。布施は僧侶の養成費・奨学金とのことだ。戒名料や布施は一種の寄付金だから、発表しない住職や寺もある。
 祖先の祭事・法事は初めは〇年忌というが、死後長年経過すると〇年祭となる。死は忌むことから祝う祭りに変化するのだろう。
 5代も前の祖先は不明になることがある。父母・祖父母・曽祖父母(ひいじじ・ひいばば)・高祖父母までは言葉があるが、その前、高祖父母の親を何とよぶのだろうか。
 子孫も子・孫・曽孫(ひまご・ひこ)・玄孫(やしゃご)の4代までは呼び名があるが、玄孫の子は何と呼ぶのだろうか。
 人には寿命がある。120歳まで生き延びた人はいないらしい。数え年61歳を還暦といい、人生マラソンの折り返し地点だ。120歳完走者はいつ実現するのだろう。
 100歳の長寿者を市町村長が慶祝訪問しているが、本来は生存確認のためらしい。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)

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