国勢調査/フライング回収 5と5
先日全国一斉に第20回国勢調査が実施された。国勢調査は1920(大正9)年に第1回が行われ、以後5年ごとに実施され、今回は第20回である。1945(昭和20)年は敗戦の混乱期で2年延期されたが、7回目は元に戻って1950(昭和25)年に行われた。
10年ごとは調査項目が多い大調査だが、今回は調査項目の少ない簡易調査だ。
前回はシンボルマークの日本地図に沖縄が描かれていなかったので、その理由を桐生市を通じて総務省に問い合わせたが、1年待っても回答されなかった。
国会議員や大学名誉教授の友人を通じて総務省に働きかけたら、シンボルマークを一部修正して沖縄が描かれた。しかし調査票の上部にあるのは国勢調査のシンボルマークではなく、政府統計のマークだ。
前回までは10月1日午前0時現在の状況を調査票で報告したが、今回はインターネットでの回答が原則で、インターネットを利用しない人にだけ紙の調査票を配布した。
インターネットでの報告期間は9月10日から20日までで、未来の10月1日現在の状況を報告しろという。未来のことは誰にも分からない。一種のフライングである。
従来は10月1日以前の回収は厳重に禁止された。今回は紙の調査票は調査員に手渡すか調査票と共に配布された返信用の封筒に入れて郵送する。宛先は桐生市ではなく、さいたま市の国勢調査調査事務所だ。
競艇ではフライングをした選手は出場停止などの厳しい罰則が科せられるが、今回の国勢調査ではインターネットによる報告は、フライング公認・奨励だ。
先日、桐生市の調査員が回収期間前の9月17日に記入済みの調査票を回収し、1部紛失して、副市長が謝罪したと報道された。
紛失したのは不注意だが、フライング回収はもっと重罪だ。プライバシー保護のための返信用封筒を請求されて初めて配布した例もあるし、逆に回収の話をせずに、郵送しろと言った例もある。
調査票への記入例として算用数字の5を5とするよう要望している。新聞や雑誌をはじめ小学1年生用の算数の教科書でも5である。
小学校で習った事を生涯覚えている人もいる。学校教育を無視するかのような国勢調査でよいのだろうか。
コンピューターは人が駆使するのが本来で、人がコンピューターに使われてはならない。
機械が読み取るのに5より5が適しているから5と記せと要求しているらしい。
今回の国勢調査は10月1日頃の状況を調べるもので、従来のものより精確度が落ちる。
70万人の調査員と670億円の予算を使って国は何をするつもりだろう。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)