総理大臣と首相/その使い分け
戦後70年の首相談話が話題になり賛否両論だ。「首相の談話」の予定が「首相談話」として発表された。
「の」があると首相の個人的な談話で「の」がないと閣議決定された政府の公式見解だとのことだ。50年の村山談話、60年の小泉談話はいずれも「の」がない政府の公式見解だったので、今回も「の」のない安倍談話となった。
国民の祝日に関する法律が制定された1948(昭和23)年当時、2月11日を建国記念日とする原案に対して、神話は歴史上の事実ではないとして反対意見が起こり、「の」を入れて建国記念の日で決着した。「の」がない祝日は憲法記念日と天皇誕生日だけだ。
東京の大学と東京大学との違いだと説明すればよく理解できる。
総理大臣と首相は同義語とされているが、ほんとに完全な同義語だろうかとふと疑問に思った。
国会で委員長は安倍内閣総理大臣と指名するが、質問する議員は総理と言って首相と表現する人はいない。
憲法には内閣総理大臣と書かれていて、首相の表現はないから、正式には内閣総理大臣なのだろう。
しかし、外国の首脳に対しては首相と言い、内閣総理大臣とは言わないようだ。天皇と国王の違いのように、内閣総理大臣は日本の首相を指すのだろう。
なぜ日本と外国とで別の表現をするのだろう。日本国憲法によると、総理大臣は国会の指名により天皇が任命する。形式的には天皇が任命するが、国会の指名によるので、天皇が自由に任命するわけではない。
これに対し、大臣は総理大臣が任命し、天皇が認証する。大臣の罷免権は総理大臣にある。総理大臣は自由に任命し、罷免することができる。
日本は政治上の最高責任者は内閣総理大臣で天皇は象徴であるが、外国では首相がトップの国と、その上に大統領が存在する国とがある。大統領と首相との関係は国によって異なる。
大臣を閣僚と呼ぶことがある。内閣の同僚の意だろうが、広義では首相を含むが、狭義では含まない。眼光紙背に徹する気持ちで読まなければ、広義だか狭義だか不明のことがある。総理大臣とその他の大臣とでは憲法上の地位が異なり、国務大臣は総理大臣の部下である。
私は狭義の意味に用いるのがよいと考えるが、安倍内閣の閣僚の平均年齢というときは総理大臣を含んでいることが多い。
以上をまとめると、内閣総理大臣は日本だけに適用し、世界全体を通じてみると首相と表現するのが適切だと考える。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)