少子・超高齢社会/抜本的対策は遠い
人口問題を論ずるとき、少子・高齢化社会という言葉が使われることが多い。統計学では用語の定義が重要だ。
現在、わが国は人口減少問題で大騒ぎしているが、歴史的には1968年世界の賢人たちがローマに集まって人類の生存の危機に警告を発したのが始まりだ。
そのときは、爆発的に増え続ける世界の人口を憂え、地球は何億人の人口を支えられるかが話題になった。
その後、先進国では人口が減少に転じ、老齢化が進んだので、国連では65歳以上の老年人口に着目し、老年人口が総人口に占める割合が7%以上14%未満を高齢化社会、14%以上21%未満を高齢社会、21%以上を超高齢社会と名づけた。高齢化率が23%の日本は超高齢社会だ。
従って日本は、少子・高齢化社会ではなく、正確に少子・超高齢社会と表現すべきだろう。
昨年5月に、日本創成会議が日本の人口減少問題を論じ、消滅可能性都市として896を発表したので、日本中が大騒ぎとなった。
出産適齢期ともいえる若年女性(20~29歳)の人口減少率(2010年→2040年)は桐生市が57.6%、みどり市が38.4%とのことだ。
人口が減少する都市は、いずれもその防止対策におおわらわだ。桐生市は手っ取り早いみどり市との合併を望んでいるが、みどり市は合併の機運はないらしい。
各都市が企業の誘致を画しても、大局的には都市対抗の綱引きにすぎず、抜本的な対策には程遠い。
外国からの移民は言葉の問題や国民感情もあり、現実的には困難だ。結局、女性時多くの子を産んでもらう以外には対策はなさそうだか、戦時中のように産めよ増やせよと強制するわけにもいかず、うまい方法はない。
2005年には過去最低だった日本の合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数とされる)1.26が2013年には1.43まで回復しているが、2.0は無理でもせめて1.7ぐらいにならないものだろうか。
ちなみに戦後の第一次ベビーブームといわれた1947~49年ごろの合計特殊出生率は4.32だったとのことだ。
出生率低下の最大原因は晩婚化だと言われている。若い人が結婚して出産するのに多くの障害があり、更に子育てや雇用にも問題がある。
予算は老人の福祉に偏りがちで、若い人が高齢者を支える社会構造となっている。
来年の参議院議員通常選挙から18歳有権者となるが、新有権者の投票率が向上することが、出生率増加につながるだろうか。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)