学校給食費無料化/正確な言葉を
桐生市は本年度から第3子以降の学校給食費無料化を実施すると広報きりゅうで発表した。
同じ4月号の別のページの詳細を見ると、義務教育の小・中・特別支援学校に在学する児童・生徒を扶養している保護者に対し、給食費に相当する額を補助するとのことだ。
無料化と補助とを同義に解釈する人もいるが、両者は全く異なる。
無料はただのことで、化は従来有料だったが、今後は無料に変更する意味である。従って無料化とは、今まで費用を支払って給食を食べていたが、4月からはただで食べられるということだ。
ところが、実際は義務教育の小・中学校に在学している第3子以降の児童・生徒を扶養している保護者のうち、申請した人の口座に給食費に相当する額を後日振り込むのだ。すなわち、いったんは払い、後日払い戻すという還付方式である。
医療費で説明すると分かりやすい。医療費無料とは、患者が病院や診療所を受診したとき、窓口で料金を支払わずに済むことだ。本来患者が支払うべき料金を市が代わって医療機関に支払うためには、市と医療機関とが事前に契約していなければならない。
給食センターは市の施設だから、給食費無料化はそれほど困難ではないと思うが、還付方式にするのはそれなりの理由があるのだろう。無料化では市が対象者を選びその人には給食費を請求しない。還付方式では手続きが面倒なだけではなく、家庭のプライバシーが漏れるのではないかと心配する保護者もいるだろう。
せっかく少子化防止対策の一環として実施する施策が、逆効果になりかねない。両親そろって円満で幸福な家庭ばかりではない。シングルマザーや両親が別居中の家庭もあるだろう。母親の口座に振り込むよう申請したら学校側に知られ、こどもにうわさが広がりいじめの対象になるのではと、余計な心配をする母親が出現するかもしれない。
公務員には守秘義務があると強調しても、非正規職員のパートやアルバイトの人たちまで徹底しているのかと心配すればきりがない。
福祉政策や補助金交付のとき、必要なのは思いやり、愛情だ。上からの目線で、施してやるのだと恩着せがましく振る舞ってはならない。
不思議なのは広報の編集者だ。ページが違うとはいえ、同じ号の記事で矛盾する内容になぜ気付かなかったのだろう。各課から集まった記事を機械的に割り振るだけなのか。内容を理解して編集しているのだろうか。
正確な言葉を使うのは難しい。振り込め詐欺や還付金詐欺に遭わぬよう、平素から注意深く暮らそう。