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桐生タイムスより

誤読/シュオクとは

 地名や人名(氏)は読み方が分からないことがある。北海道の地名はアイヌ語に漢字をあてたものが多く、沖縄の地名は琉球語に由来するものがある。両方とも何と読むのか不明な場合があるが、案内標識にローマ字で併記されていて、初めて読み方が分かる。
 群馬県の八ッ場ダムは全国的に有名だが、なぜ八ッ場を「やんば」と読むのか、逆に「やんば」をなぜ八ッ場と表記するのかは知らないが、相応の歴史的由来があるのだろう。
 地名の読み方が変化することもある。温泉で有名な草津は、昔は「くさづ」だったが現在は「くさつ」だ。滋賀県の草津市は昔も今も「くさつ」である。
 みどり市の笠懸は村時代は「かさがけ」だったが、現在は「かさかけ」と清音で読む地元民が多い。郵便局は今でも「かさがけ」だ。
 氏名は難読でなくても二通りの読み方がある場合がある。将棋の名人は羽生(はぶ)だが、スケート選手は羽生(はにゅう)だ。
 テレビのアナウンサーは読み違えることはない。放送原稿には地名や人名には必ずふりがなが記されているのだろう。
 先日NHK総合テレビ「ほっとぐんま640」で桐生市の登録有形文化財が紹介された。そのとき、字幕の主屋が「しゅおく」と読まれた。私はその瞬間、なぜ「おもや」を「しゅおく」と読むのか、誤読ではないかと思った。
 ベテランのアナウンサーが、普通名詞を読み間違えることはほとんどない。早速「おもや」を辞書で調べた。広辞苑の「おもや」には母屋・母家・主家(付属の家屋に対して)住居に用いる建物。本屋。おおやと記されている。「しゅおく」は掲載されていない。
 NHK編新用字用語辞典にはおもや母屋(家)(熟字訓)とある。「しゅおく」はない。
 朝日新聞の用語の手引きには、おもや(母家▲)→(慣) (統) 母屋とある。▲は常用漢字の表外音訓、(慣)は慣習、(統)は統一用語の略で「おもや」は慣習としても新聞協会の統一用語としても母屋と表記するとの意味である。
 NHKが報道する2日前に発行された本紙によると、国の文化審議会が文部科学大臣への答申として、旧金谷家の住宅主屋、堀祐平の住宅主屋と記されている。
 文化審議会は「おもや」を母屋ではなく、主屋と表記するらしい。
 話は変わるが、文化審議会は地元で彦部屋敷と呼ばれている重要文化財を彦部家住宅として指定している。 
 NHKは以上の事情を十分承知した上で、主屋を「シュオク」と読み、字幕に主屋と表示したのではないか。
 ちなみに、韓国語に詳しい人の話によると、韓国では母を「オモニ」というので、母屋を「おもや」と読むとのことである。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)
 

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