試験と検査/微妙な違い
試験と検査は、かっては同義語として使われていたが、現在では類似語で微妙な違いがある。
酸性かアルカリ性かを調べるリトマス試験紙は、現在の国語感覚ではリトマス検査紙だ。
試験で真っ先に連想するのは入学試験、検査では車検だろう。前者は人、後者は物を対象に行われる。
小学校で身長や体重を計測するのを昔は身体検査といったが、現在では健康診断という。医療の分野で、昔は試験といったものは、現在では検査ということが多い。人体についてのものでも、レントゲン検査、血液検査のように検査と表現する。
広辞苑は次のように説明している。
検査(基準に照らして)適不適や異状・不正の有無などをしらべること。「所持品を検査する」「血液検査」
試験①ある事物の性質・能力などをこころみためすこと「耐久性を試験する」「まだ試験段階にある」②問題や課題を出して回答・実行させ、学習・訓練の成果・習得度や及第・合格・採否を評価・判定すること。「実地試験」「入学試験」「学期末に試験する」
さりげない表現だが、うまい解説で私の国語感覚とも一致する。
医師・薬剤師・看護師のような免許を与える試験を国家試験というが、よく考えると、これは試験ではなく検査ではなかろうか。試験は問題に対して正解があり、採点して点数化し、序列をつける。入学試験が好例だ。これに対し、検査は一定の能力・基準に達しているか否かを判断することで、序列はつけない。合格か不合格かを判断するだけだ。
医療従事者の免許は一定の基準に達していれば全員合格、達していなければ全員不合格もありうる。定員がないので序列は不要だ。
ところが、入学試験は定員があり、定員により合格・不合格が決まる。従って年により合格水準が変化する。
大学入試の場合、現在では私立大学でも大学入試センター試験に参加していることがある。
この制度は1948年に進学適性検査として始まり、54年に廃止された。私はその第1回の受験生だ。
その後、共通一次試験として1979年度から89年度まで実施された。90年度からは現行のセンター試験として実施されている。
検査から試験に変わったが、言葉の変更は注目されなかった。
高校入試は正式の名称は学力検査だ。高等学校で学ぶ能力があると認定されると、定員に関係なく入学させるのが、本来あるべき姿なのだろうか。教育委員会はじめ、学校関係者はどう考えているのだろう。