期日前投票/振りがなは必要か
昨年12月14日に総選挙の投・開票があった。選挙が終わってから論じるのは六日のあやめ、十日の菊の感があるが、有権者は期日前を何と読むかの問題だ。
同一の漢字が市民と専門家とで読み方が異なることがある。切手の消印を多くの人はケシインというが、郵便局ではショウインと呼んでいる。こどもが生まれたときに戸籍係に届ける出生届を親はシュッセイトドケというが、係は内部でシュッショウトドケという。
死亡したときの相続を記した遺言は一般にユイゴンと呼ばれているが、法律家はイゴンという。
これらは専門家の読み方が正しくて、慣用読みが誤りではなく、読み方が違っているだけだ。医学の学術用語と患者の言葉とが異なる例は多い。
期日前投票は、公職選挙法等の法令には振りがなはない。新聞にも振りがなはないが、放送ではNHKをはじめ、民放でもキジツマエと読んでいる。
群馬県選挙管理委員会は前回平成24(2012)年と同様、今回も選挙公報の裏面に期日前(きじつぜん)投票と振りがなして配布した。
キジツゼンが正しくて、それを普及したいのなら、各放送局にキジツゼンと読むように要請すべきだろう。放送局は選挙関係の報道は極めて公平・公正で神経質すぎると思うほどだ。
総務省に事務局がある中央選挙管理会は期日前に振りがなを振れとも振るなとも言及していないようだ。
群馬県選管は内部でキジツゼンと統一しているのだろうが、法令に規定がないので、有権者に読み方を示す必要はない。
以上の意見を桐生市選挙管理委員会に電話で述べた。市選管は辛抱強く聞いてくれたので、県選管にこの意見を伝えてほしいと希望した。市選管は自分で直接県選管に電話しろとは言わず、私の要望を了承してくれた。
今回とは別の話だが、数年前、総選挙に関する意見・要望は県選管に直接電話しろとの市選管の言葉どおり、県選管に電話したら、「そんなことは県の選挙管理委員長になってから言え」と暴言を吐かれた。それ以来、私は県選管を信用していない。
私の言動に相手を怒らせるような失礼な点はあったのだろう。自分に利害関係のない公正な話は、声が大きくなり力が入るのだ。
人間は感情の動物ともいわれるから、自説がいかに正しくても、相手を怒らせるのは大人げない。
現役で医療に従事していたときは、患者さんを怒らせるようなことはしなかった。しかし、相手が公務員なら、つい大声で正論を吐いてしまう。こんなことでは、いつまでたっても、卒寿になっても卒業できず、旅立てないと反省している。