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桐生タイムスより

入水・入浴・入湯/昔と今と

 30年余り昔のことだ。当時私は小学校の学校医を務めていた。初夏のある日、学校保健委員会に出席するため、学校に赴いた。会場の教室の黒板に「今日の入水は中止」と板書されている。意味は想像できたが、念のため「これはどういう意味ですか?」と尋ねた。
 教師は「気温が上がらないので、プールは中止しました」と答えた。入水は身投げだと思っていた私は、学校ではプールに入ることを入水ということを初めて知った。
広辞苑は保守的な辞書で、一時の流行語は掲載しない方針のようだが、各版を調べてみた。
 初版 じゅすい 入水。 水中に身を投じて自殺をはかること。みなげ。にゅうすい。投身。(にゅうすいは立項なし)
 二版補訂版 じゅすい 入水。水中に身を投じて自殺すること。身投げ。投身。 にゅうすい 入水。 ①入ってくる水。②水中に身を投じて自殺すること。じゅすい。
 三版 じゅすい 入水。水中に身を投げて自殺すること。身投げ。投身。 にゅうすい 入水⇒じゅすい
 四版 じゅすい 入水。水中に身を投げて自殺すること。身投げ。投身。 にゅうすい 入水。①水泳などで水に入ること。②⇒じゅすい(入水)
 五版 じゅすい 水中に身を投げて自殺すること。身投げ。投身。 にゅうすい 入水。①水泳などで、水に入ること。②⇒じゅすい(入水)
 六版 五版と同じ。
 私はにゅうすいはプールに入ることだと知って驚いたが、私から「じゅすい」の説明を聞いた教師はびっくり仰天した。校長は両方を知っていたようだ。
 入浴は風呂に入ることだが、湯を頭からかける人と、肩からかける人とがいる。全身浴の他に半身浴や腰湯(座浴)や足湯もある。足湯は正式には脚湯というそうだ。
 温泉に入ることを入湯というが、温泉旅館に宿泊すると、宿泊料の他に入湯税が課税される。昔は領収証に入湯税を別記していた旅館もあったが、現在では入湯税を宿泊料に含めて請求する施設が多い。入湯税は観光の振興や消防署の充実等を図る目的税で、市町村税だ。桐生市にも黒保根町に納税者がいる。温泉に入らなくても、施設を利用したら納税義務が生じるらしい。

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