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桐生タイムスより

士と師/いろいろな使い分け

 人の資格や職業を表す言葉には士や師が付くものがある。弁護士と医師が代表的な例だ。
 士や師がつく言葉を列挙してみよう。
 士 栄養士・保育士・建築士・不動産鑑定士・土地家屋調査士・行政書士・司法書士・救急救命士・税理士・公認会計士・歯科技工士・歯科衛生士・社会福祉士・弁理士・無線技士・理学療法士・臨床工学技士・介護福祉士・言語聴覚士・社会保険労務士のように国や知事が認定した公的な資格の他に、剣道の範士・教士・錬士のように民間の団体が認定した資格の士もある。武士の士とか侍の士といわれる。
 一方、医師のような師は教師をはじめ、歯科医師・薬剤師・柔道整復師・看護師・助産師・保健師・臨床検査技師・理容師・美容師・はり師・きゅう師・診療放射線技師・調教師・調理師のような公的資格の他に、伝導師・牧師・導師のような宗教上の師や手品師・奇術師・絵師のように特殊技術の保持者もいる。先生の師とか教師の師といわれる。
 士と師の使い分けはむずかしい。明確な基準があるわけではない。
 戦前は女の職業は限定的で、多くの職業は男で占められていた。そのため、士のつく職業が多かった。
 保育士について考えてみよう。乳幼児を保育する人はもともと保母といわれていた。家庭で両親に保育されているように、保育所でも父親役の男性職員の必要性が高まり、保父が生まれたが、平成13(2001)年、両者を統合して保育士と名称変更をした。
 一方、疾病を看護する女性は長らく看護婦と呼ばれていたが、精神病院をはじめ男性の看護人の需要が高まり、両者を合わせて看護師と称するようになった。
 医療の領域では昔から医師・歯科医師・薬剤師のように師がつく資格が多かったので、看護士ではなく、看護師を選んだのだろう。
 同様の理由で、助産師・保健師・臨床検査技師・診療放射線技師等も士ではなく、師をつけたのだと思われる。
 ところが、医療に携わる職でも歯科衛生士・理学療法士・臨床工学技士・言語聴覚士等は師ではなく、士である。その理由を問われても答えに窮する。書くたびに調べて正確を期する以外に区分する方法はない。
 「シ」の資格は上記の士・師の他に司もある。司の職業は福祉の分野に多いようで、児童福祉司、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司、保護司などがある。
 法律の条文では障害者と表現されているが、他人に害を与えるような印象を持たれやすいので、「障がい者」と仮名書きされることもある。

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