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桐生タイムスより

消費税率8%へ/今更遅すぎるとはいえ…

消費税率が来年4月から3%増えて、8%になることが正式に決まり、総理大臣が記者会見で発表した。政府がうまく世論を誘導し、やむをえないと国民を納得させた格好だ。
しかし、仮に消費税増税の賛否を国民に問えば、反対が圧倒的に多いだろう。
3%の消費税が新設された頃、JR岡山駅で面白い光景を見た。
 岡山名産の吉備団子の売店が二つ並んでいる。A店は986円(内税)で、B店は959円(外税)だ。内税は税金を含む価格で、外税は税金を含まない商品自体の価格だ。当時は内税・外税という言葉が流行し、どちらで表示してもよいことになっていた。
観光客は外見上安いB店で買い、通勤客はA店から購入しているように見受けられた。
3%を加えた価格を暗算で計算するのはむずかしい。B店の税込み価格は、円未満を切り捨てても987円でA店より1円高い。
観光客は外見上安いB店で買い、通勤客は自宅で計算してきたのか、実質的に安いA店で購入している。購買客の心理実験をしているようで、興味深く観察した。
増税は来年4月から実施だが、それまでに契約して支払えば現行の5%で済むという。そのため駆け込み契約が増加し、住宅の購入や結婚式の予約が増しているという。3300万円のマンション購入では、消費税の差額が100万円近くにも達する。
 低所得者には現金で1万円給付すると政府は説明するが、年金だけで生活している高齢者にとっては、食料品などの生活必需品にも一様に増税されるので、生活はますます苦しくなるだろう。
昔は、商品によって税率が異なる物品税で、きめ細かな対応がとられていた。それが、実務が繁雑との理由で、すべての消費に対して一律税率の消費税になった。
今更、生活必需品には軽減税率をと訴えても遅すぎるとはいえ、二・二六事件直後に粛軍演説をし、日中戦争処理に関する質問演説で除名された斎藤隆夫代議士のような勇気ある国会議員はいないのだろうか。
昼間照明を消し、暗い居間でテレビを見ている老人が増えたという。わずかの年金暮らしの老人世帯にとっては、電気代も節約して生活しているのだ。中には生活保護以下の状態で、安売りの弁当を購入して飢えをしのいでいる人もいる。
一方、復興法人税は前倒しして減税するそうだ。
結婚式は予約で5%の消費税ですむのなら、葬式も同様にできるのかと思ったら、いつ死ぬかわからないので駄目とのことだ。
5%のうちに、お迎えがくればよいのだが。

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