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桐生タイムスより

利息/分かりやすい名を

 昔、ラジオ番組で「利息と利子はどう違うか」の質問に対し、誰も的確に答えられず、私がはがきに解説を書いて送ったら、次週読み上げられた。
本来は利息は単利、利子は複利で、息子だけなら孫はできず、子で男・女いるなら孫は生まれると説明した。
預金と貯金の区別についても、預金は金融機関を信用して運用を任せることで、利息を期待できるが、元本保証はない。貯金はたんす貯金のように元本は保証されるが、利息はないと預貯金の本質を説明した。
現在では預金と貯金は同義語、利息と利子も同義語で、金融機関の慣習として、銀行は預金と利息・郵便局(ゆうちょ銀行)は貯金と利子のように使い分けているようだ。
ノーベル賞をもらう人は受賞者、文化勲章をもらう人は受章者だが、その式典は授賞式・授章式と文字を使い分けている。
学校の授業は教える側の言葉で、講習や講義を受ける人は受講生だ。
バイバイは売買と記し、買売とは書かない。売春防止法は売春をさせる業者を処罰していたが、買う側も問題だとして買春という用語を設定し、売春と発音が同じなので買春を「かいしゅん」と読み、両者を区別している。
調理師学校で教えていたとき、生徒に授業の感想を書いてもらったら、「授業態度が悪い」と記されたものが数通あった。私は自分の授業の仕方が悪いと批判されていると受け取ったが、真意は生徒が自己の受講態度を反省している文で、驚いたことがある。
さて、銀行で普通預金と定期預金をすると、昔は預金通帳と定期預金証書とが交付されたが、現在では1冊にまとめた総合口座通帳が渡される。普通預金の残高が0でも、定期預金を担保にして一定の額まで借りられ、差引残高の欄には-(マイナス)表示される。借りた金額には当然利息がかかる。
左側のお支払金額欄には支払った金額が表示され、右側のお預り金額欄に電気料・電話料・水道料などの公共料金の種別が示される。
ある銀行の通帳で「総合口座利息」の項目で示された金額は、預金者が受け取る金なのか、銀行から借りた金に対する利息で支出する金なのか、迷ってしまう。
定期預金の利息すなわち受取利息だと思う預金者が多いと思うが、この銀行では定期預金を担保にして貸し付けた金額に対する利息を総合口座利息と表示している。
貸付利息とか利用料と表示すれば誤解は生じない。
市役所の課の名称でも、昔収納課と称していた課は、現在では納税課と変更された。
市民の立場から分かりやすい名称に変更したのだ。銀行も見習って預金者に分かりやすい名に変えてもらいたい。 (1930年生まれ。桐生市堤町二丁目) 

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