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桐生タイムスより

目安箱と投書箱/いつ開函するのか尋ねたら

8代将軍徳川吉宗は数え33歳で将軍職に就くと、次々に政治改革を断行しました。享保の改革です。
その一つに、評定所の門前に設置された目安箱があります。現在、農民から大反対されているTPPとは異なり、吉宗は米の増産を奨励したので米将軍とたたえられました。
評定所は現在の最高裁判所のような組織ですが、目安箱に投入された直訴状には、将軍自ら目を通したと伝えられています。
政権交代して民主党の鳩山内閣が発足した直後、総理の自宅に年金についての要望書を送りたいとの相談が、このコラムの愛読者からありました。
自宅あてでは本人は読まないだろうから、首相官邸あてなら秘書官が必ず読むだろうと助言しました。
まさか実行しないだろうと思ったのですが、彼女は実行したのです。しかし返事はなく、民主党公約の月額7万円の年金支給は実施されなかったので、失望した彼女は次回の総選挙では民主党から離れてしまい ました。
一方吉宗は、目安箱の直訴状に記された小石川養生所の設置や町火消しの創設を実行したのです。これが今日の東京大学医学部付属病院や東京消防庁の先祖です。
現在では、市役所や各種の施設・企業などに投書箱が設置されています。投書箱は宝庫です。どれくらいの人が利用し、その意見が行政や企業の運営に反映しているのでしょうか。
桐生と前橋の間に上毛電鉄が2両編成で走っています。駅はほとんどが無人駅で、朝の通勤・通学時間以外は車掌はいないワンマンカーです。そのため運転席のすぐ後ろのドアだけが開き、乗客が乗り降りしま す。
中央前橋駅の改札口の近くに、投書箱と用紙が置かれています。
車内掲示の「前の電車」は「前の車両」に、テープで放送の「網棚」は金属製なので「座席の上の棚」に変更するよう、私は住所氏名と返信希望と記して、投函しました。
簡単な内容だから、即日実施可能なことです。
ところが、1週間待っても回答がないので、投書箱はいつ開函するのかと駅員に尋ねました。駅員は困ったような顔つきです。週に1回くらい開けるのかと突っ込むと、投書が入っていそうな時に開けるとの返事で  す。
つまり、投書箱は置いてあるだけで、定期的に開函はしていないようです。私は開函しない投書箱は目障りだから撤去し、私の意見を社長に直接伝えるよう強く要望しました。
しかし、1カ月待っても上電から何の連絡もありませんでした。何のための投書箱でしょうか。吉宗の目安箱を見習ってほしいです。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)

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