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桐生タイムスより

選挙雑感/総務省へ照会はしたのか

選挙雑感という表題を見た読者は、7月の参議院議員選挙の当選者や落選者についての感想だと思うだろうが、今回のコラムは選挙事務についての感想だ。
 選挙は7月4日に公示され、投票所の入場券は翌日の5日に郵送されてきた。
 従来の選挙では、公示や告示より前に郵送されていた。公示や告示は、有権者に対し、選挙を公に知らせることで、それ以前は内定だ。
 公示前に投票所入場券を送付するのは、死亡前に葬式の通知を出すような話で不適切だと、私は選挙のたびごとに選挙管理委員会に警告し、公示(告示)日以降にするよう要望してきた。
 しかし、選管は、期日前投票に支障をきたさぬよう、事前に発送するのだと説明した。私の例えかたが悪かったのかもしれない。後援会事務所と選挙事務所の看板切り替え時期の例で説得すればよかったのだろうか。ともかく公示後に届くように変更したのは喜ばしい。
 成年被後見人に選挙権がないのは憲法違反だと訴えていた裁判は、敗訴した国が時間稼ぎのため控訴した。しかし一方、公職選挙法を改正して選挙権が回復し、今回の選挙から投票可能となり、原告と国との間に和解が成立した。当欄で不当を訴えていた私は、心から喜んでいる。
 また、未成年の高校生が選挙事務を手伝うのは不当だと私は当欄で指摘し、選挙権のない者は選挙事務をしないよう強く要望したが、投票日当日、有権者の確認作業に高校生が従事したとのことだ。
 若者の選挙ばなれ防止のためとはいえ、選挙の本質と選管の職務を考えると極めて遺憾だ。ネット選挙運動が開放された潮流に乗ったのだろうが、教育的見地からも問題だ。
 群馬県選挙管理委員会の了解は得たのだろうが、私が要望した総務省選挙部への照会はしなかったのではなかろうか。
 私は有権者になって60年余り、一度も棄権したことはないが、早朝一番乗りで投票箱を点検したこともない。
 今回は投票開始時刻前に行き、神社にお参りした後に、境内にある投票所へ向かった。数人の人がすでに投票所前で待っていた。ネクタイを締め、スーツ姿の私を見た選管の職員は一瞬驚いたような表情をした。ラジオの時報と同時に入場した。一番前で待っていた有権者が投票箱が空だと確認した。
 入場券に記されているのは、投票開始と終了の時刻だ。投票は用紙を投票箱に入れる行為だから、投票所へ入場する時刻ではないはずだが、トラブルを避けるため、実務的には投票所へ入場する時刻で代用しているのだろう。
 (1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)

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