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桐生タイムスより

消費期限と賞味期限 -商売は信用第一-

 最近の食品はほとんど消費期限か賞味期限が表示されている。商店の陳列棚に並んだ食品のこれらの期限を点検して購入する消費者がいるが、私は点検しないで商店を信用して購入することが多い。
 しかし、期限切れの商品を撤去せず、不注意で販売することもあり、絶無ではない。
 あるとき、期限切れのインスタントラーメンを購入して食べたら下痢となり、その店に知らせるために行ったら、店員が総出で、日付を点検していた。客から苦情があったのか、店側が発見したのかは不明だが、商売もたいへんだと妙に感心した。
 このような事態を避けるため、期限内であっても期限が近づいたら商品棚から撤去し、廃棄処分にする大手のチェーン店があり、その額は多額に達するらしい。
 消費期限の時刻まで表示している弁当は、期限時刻近くになると安売りする店もあるが、安売りを認めない本部の指示により、費用をかけて廃棄するチェーン店もある。
 もったいないと思うが、何かよい利用法はないのだろうか。
 食料不足で悩んだ戦時中の経験の影響か、私は食べ物を捨てるのに強い違和感がある。
 六つ切りや八つ切りの食パンを購入すると、朝食に一切れ食べるだけだから、消費期限内に食べ切れず、冷凍庫に保管し、期限切れのパンを食べているが、健康に異常はない。安価な食パンだから期限切れのパンを捨てても家計にひびくことはないと思っても、前述のように捨てられず、月のうち半分は期限切れのパンを食べている。
 先日、知人から群馬県内の温泉土産として、酒まんじゅうを頂いた。何気なく包装紙を見ると、賞味期限は側面に記載と記されており、側面の小紙片には消費期限と表示されている。
 現在では消費期限と賞味期限の異同は誰でも知っている。酒まんじゅうは消費期限なのか、賞味期限なのか、証拠の包装紙と共に、製造元に手紙を書いて送った。
 早朝に投函した翌日の正午ごろ、製造元からおわびの電話があり、1カ月ほど前に包装紙を変更したと釈明する。私は文書で説明するよう要求した。
 その2日後に、賞味期限を消費期限に訂正した包装紙にくるんで、酒まんじゅうがクール宅配便で届き、間違えた経緯を詳しく記したわび状が同封されていた。
 客の苦情・指摘に対し、謙虚に敏速に対応し、直ちに印刷まで変えた担当者に敬意を表したい。商売は信用第一だ。
 広辞苑の説明は以下のとおり。
 消費期限 傷みやすい食品に表示される、安全に食べられる期限。おおむね5日以内。
 賞味期限 比較的長持ちする加工食品を、定められた方法によって保存した場合、その品質が十分に保ておいしく食べられる期限。
 (1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)

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