男と女/性のいろいろ
外資系ホテルのフロントでname(氏名)の次にsex(セックス)とあるので、性交するのか否かを問われているのかと勘違いしたという笑い話があるが、これは男女の性別を記す欄で、manまたはm(男)かfemaleまたはf(女)と記せばよい。
出生届に男女の区別があるが、出生時には性別が不明のこともあり、空欄のまま届け、後年判別したときに男女の別を届けることになっている。
国勢調査にも男女の区分があるが、まれに性別不明のこともあり、男女の合計が総人口と一致しないことがある。
この他に、性転換手術を受け、男から女にまたは女から男に、家庭裁判所の許可をえて戸籍の性別を変更する例が、近年増えているそうだ。
生物学的性(セックス)と社会的・文化的につくられた性gender(ジェンダー)とが一致しない性同一性障害が増加し、本人の悩みは深いという。
アフリカのある発展途上国では、成人(18歳)になるとき、セックスにこだわらず、ジェンダーを自由に選択できるとのことだ。しかも、いったん選んで届け出たジェンダーは、考えが変われば後年自由に変更できるという。まさにジェンダー選択の先進国である。
性には生物学的な性のほかに、文法上の性もあり、これもジェンダーという。
日本語や英語には名詞に性はないが、ラテン語・ドイツ語・ロシア語などでは名詞に性があり、男性・中性・女性に分ける。
名詞の性は生物学的性から連想する性とは一致しないものがある。例えば、ドイツ語では、太陽は女性・月は男性である。
そのため、名詞は性別を示す冠詞をつけて、太陽はデイゾンネ、月はデルモントと覚える。
名詞の性別は国によって変化するらしい。
旧制高校で、ドイツ語の初歩を教わった頃を懐かしく思い出す。
嬲という17画もの漢字がある。ニョウ・ジョウという音だけで、訓はないとされるが、なぶると読む。うるさくつきまとう、さわがす、もてあそぶの意味だ。
一方、これとは逆に嫐という漢字もある。音はノウ・ドウで訓はない。なやむ、なやましい、うるさいの意味だ。
男でも女でも、異性につきまとわれては、うるさくて迷惑だろう。ストーカー防止法を適用してもらいたくなるのも無理はない。
(1930年生まれ。桐生市堤町二丁目)